最近、界面活性剤についての不安がよく寄せられていますので、今回は界面活性剤の話をします。
界面活性剤の強さに違いがあるか。答えは、Yesです。
簡単に説明しましょう。
どこかで書いたかもしれませんが、界面活性剤と一言にいっても、ものすごい数があります。
そこで、構造に着目して分類してみると、4種類にわけることができます。
アニオン、カチオン、両性、ノニオンというものに分けれます。この分類が一般的です。
そして、それぞれに特徴をもちます。
すごーく一般的に解釈すると(例外あります。)、
アニオン界面活性剤は泡立ちがよく、洗浄力があるものが多いです。
カチオン界面活性剤は、洗浄力はあまりないですが、殺菌力があるものがあります。
両性海面活性剤は、洗浄力そこそこなのに、刺激や毒性が低いものが多いです。
ノニオン界面活性剤は、泡立ちよくないし洗浄力もあまりないですが、乳化、浸透、可溶化、保湿などで幅広い機能をもちます。
と、上記4種だけをざっと分けてもこれだけ違いがあり、さらにその中にものすごい数の界面活性剤が存在するのです。
化粧品技術者は、この膨大な量の界面活性剤から、その目的に合致したものを選び処方します。まさに職人技です。
また、界面活性剤は洗浄剤としての目的のほかに、乳化、可溶化、浸透、ぬれ、分散、保湿、殺菌、潤滑、帯電防止、柔軟、消泡などの機能があります。
ですから、構造的には「界面活性剤」なのに、そうとはいわず、「乳化剤」や「保湿剤」と説明している会社もいるようです。
「界面活性剤」は機能上の分類名称ではありますが、構造上の分類名称でもあります。だから、「保湿」機能をもつ「界面活性剤」もあるわけです。
過去、数種類の界面活性剤が、安全上問題を起こしたのは事実です。が、その数種類の界面活性剤のために、「界面活性剤」全体が悪者になってしまっているのは良くないことだと思います。また、そのことに便乗して、「界面活性剤を使っていません。だから安全」という、よくわからない論理展開をしてしまうメーカーを鵜呑みにするのも良くないと考えます。もちろん、「なぜうちは界面活性剤を使っていないか。それはこういう考えに基づくからだ」としっかり主張しており、それが納得のいくものであれば信用してよいのではないかと思います。
数々の毒性試験の結果から、安全性を確認した界面活性剤が今はたくさんあります。アメリカには、化粧品原料の再評価機構(CIR)があり、そこがかなりの数の原料の安全性について見解を出しています。
ほとんどの日本の化粧品メーカーは、そういう安全と考えられるものしか使っていないはずです。しかし、個人によっては刺激が出てしまうものがあるのも事実です。
すべての人に反応のでない化粧品はありません。水ですら、人や体調によっては反応が出てしまうことがあります。
なんだか色々なことを書いてしまいましたが、界面活性剤には本当に色々種類があるということ、機能もあるということ、「界面活性剤」という理由だけで恐れる必要はないということです。